everything sucks

石井光太『絶対貧困』

      2014/12/26

スラム、路上生活、売春の3章立てで、貧困に生きる人たちの生活を語る本。内容は、どれも著者が実際にスラムや路上生活者とともに寝泊りしながら取材した話なので、人づてに聞いた話とはわけが違うリアルさがある。

特に日本にいると、そういった生活とはかけ離れているので、初めて知ることも多かった。
以下、印象的な部分をメモ。

・スラムの食事は火や油を使った料理が多い。鮮度の悪いものを火を通すことにより食べれるようにするため。そして、お金がないから一番カロリーの高いものだけを食べるので、肥満が多い。
→これは納得。バングラデシュで明らかに仕事なさそうな人でおなかぽっこり出てる人をたくさん見たけど、野菜もそんなにとれず、油使ったものばっかりの食事しか食べなかったらそうなるだろうなぁ。

・貧しい人々が出稼ぎに海外に行くケースがあるが、中東は比較的うまくいっている(必要な数の労働者だけ受け入れている)。一方、南アフリカは流入者が仕事の量を完全に上回り、外からふらっと来ても仕事につけず、闇の仕事(麻薬、銃の販売、強盗など)をするしかなく、治安が悪化している。国境を越える方法は、正規ルート、観光ビザで不法滞在、非合法のブローカー経由の3種類。
→その国の人口と仕事の量のバランスって、治安と直結するよね。日本は、例えば中国人への観光ビザ発給でも、ちゃんと出国させるまでを追うように旅行手配した会社に責任を負わせてて、日本国内で不法滞在しないようにかなり厳しく取り締まってるんだなと思った。

・アメリカなどの戦争を起こす国は、貧者を戦争での労働力に利用している。リクルートは、ブローカーを2つ、3つ通して、アメリカが雇っていることを表向きはわからないようにしている。イラク戦争時、出稼ぎで参加していたネパール人数人がテロリストに殺され、怒った民衆がネパール国内のアメリカ大使館を襲撃した。
→けど、雇われる側も相当のお金をもらう約束をしてるわけで、嫌なら行かなければいいわけだよ。行く時点であなたたちも戦争に加担してるの。それをアメリカだけが悪くて自分は悪くないみたいなのはおかしい。確かにアメリカは頭おかしいけど、アメリカを責める前に自国を豊かにする努力をすべき。
今、イスラム国に流れる人々の多くも貧困層で、現状の生活よりは豊かになるといって参加してるみたいですね。うーん。

・路上生活者は誕生日を記憶する習慣がないため、自分の年齢を聞かれるとテキトーに区切りのいい「30歳」「40歳」などと回答する。
→笑える。役所に届け出ることもなく、履歴書とかも出す必要のない仕事やってたら、自分の正確な年齢なんてどうでもよくなるんだろうね。

・アジアやアフリカでは伝統薬売りや呪術師が、病院などの福祉制度からもれた人々を助けている。
→スキマ産業、ですね。どんなところにも、ニーズがあれば仕事がある。

・パフォーマンスをして物乞いをする人の中でも、盲目の演奏家は世界的に多い。最近はカラオケのセットを首から下げて歌いながら町を歩くパターンもある。
→そうそう、これタイでたまに見た!盲目の人は首からカラオケセットを下げてマイク片手に歌い、盲目の人の横に母親らしき人がいて、その人が進む方向をアシストして町をうろうろする。聞きたくもない異国の歌を聞かされます。

・多くのストリートチルドレンが少年兵として紛争にかりだされる。
→路上では誰にも相手にされないが、兵士として働けばほめられることもあるから、自分からすすんで参加する子供もいるとか。

・成人の物乞いは、自分だけではなかなか喜捨をもらいにくいため、子供を借りてきて(レンタルチャイルド)物乞いをする。
→タイでも親子セットの物乞いを見たけど、てっきり本当の親子かと思ってた。もしかしたら、どこからか借りられてきた子供なのかな。

・レンタルチャイルドには犯罪組織が関わっており、子供が小学生くらいの年齢になると、失明させたり、手足を切断するなどして障害を負わせる。障害児の方が喜捨がたくさんもらえるから。
→タイでも四肢がない人が物乞いをしてるのを見た。前にカンボジアに行って地雷で手足のない人たちを見ていたので、タイの障害者も地雷が原因なのかと思ってたけど、もしかしたらマフィアに障害者にされてしまったのかな。人間の残酷な部分を見た気がした。

・売春婦にもヒエラルキーがあり、特に途上国ではお客と会話できるだけの教養がないといけないため、女子学生が重宝される。色白の女性が好まれるケースも多い。
→色白が美の要素っていうのは、万国共通なのね。あと、売春婦でも教育が大事ってこと。お金持ってるお客はそれなりに教育受けた人だから、その人の話についていかないといけないもんね。

 

いまや世界はつながってて簡単に人が移動できるから、こういった話はいずれ日本でもよく目にするんだろうな。貧困の現実を直視するための本。


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