everything sucks

たくさんの人に話し合ってほしい、『世界一大きな問題のシンプルな解き方』について

      2014/12/26

最近、気になった本を片っ端からAmazonで注文して読んでる。この本もその中のひとつだけど、めちゃ面白い、これ。

ちなみに、この本の原題は『Out of poverty -what works when traditional approaches fail-』で、日本語訳タイトルの「世界一大きな問題」とは、「貧困」のことです。

貧困を扱う本は、実情を書けば書くほど読んでて希望を失うものが多い気がするけど、これは最後の方は希望すらわいてくるので、読んでてとても気持ちよい。

まず、著者のポール・ポラックについてですが、ビジネス戦略をもちいて1日1ドル以下で暮らす人々の収入を増やすため、IDE(International Development enterprises)を設立。小規模農家向けに、小型化・低価格化されたドリップ灌漑システムなどを導入させ、ギリギリの生活をしてきた多くの農家の収入アップに成功した。その過程をえがくのが本書です。

原体験となったのは著者が16歳の時にイチゴを育てて売るということに携わったこと。これがあるから、他の人よりも小規模農家の悩みを早く理解できるようになり、農業の効率化を図ることもできたんだろうね。やっぱり10代の時に経験したことが、その後の人生の根幹となってくよね。

以下、メモ。

 

貧しい人たちから学んだ4つのポイント
1,貧しい人たちが貧困状態にある最大の理由は、十分なお金を持っていない、ということだ。
2,世界で極度に貧しい人たちのほとんどは、1エーカーの農場から収入を得ている。
3,高付加価値で労働集約的な作物を育てる方法がわかれば、貧しい農民たちはもっとお金を稼げる。たとえば、シーズンオフの果物や野菜を育てるのである。
4,そのためには、非常に安価な灌漑装置、良い種子と肥料を手に入れる必要がある。利益の出る価格で作物を売れる市場にもアクセスできなければならない。(p.35)

 

現実的な解決方法
1,問題が起きている場所に行く
2,問題を抱えている人と話し、その話に耳を傾ける
3,個々に特有の状況について、可能な限りすべてを知る
4,大きく考え、大きく行動する
5,子供のように考える
6,当たり前のことを見て、実行する
7,すでに誰かがやっているかどうか調べる(やっていればする必要はない)
8,目に見えて良い影響をもたらし、大規模化できる手法を採る(少なくとも100万人が活用でき、大きな生活改善につながる手法)
9,具体的な費用と価格目標を決める
10,現実的な3ヶ年計画に基づいて実行する
11,顧客から学び続ける
12,他の人の考えに流されず、前向きでいる(p.39)

 

実施する価値があるプロジェクトとは、コストが測れ、以前に比べての改善度合も測れるもの(p.51)

→過去にソマリアでILOが実施していた、難民女性が石鹸を作って売るプロジェクトは、コストをまったく考慮されておらず、おそらくパリの最高級の石鹸をソマリアに空輸したものよりも高くつくだろう、とプロジェクトを批判している。

 

非常に貧しい人たちが、自分の時間とお金を、魅力的で手ごろな機会に投資し収入を増加させること。これこそが、人々が貧困から抜け出す唯一の現実的な道なのである。(p.77)

→寄付は人を貧困から救わない、ということを言う章なんだけど、グラミンのユヌスさんも同じようなこと言ってる。ただお金あげてもその人の精神が腐るだけでしょ。

 

最初に開発し市場に提供すべきなのは、収入を稼ぎだせる道具や手法であり、それを買った人が遅くとも1年以内に元がとれるようにする。(p.84)

→1日1ドル以下で生活してる人たちを対象にした商品の値段はどのくらいにすべきか、の具体的な指標。こういうのとっても大事なのに、書いてある本はあまりない気がする。

 

貧しい人たちの力のなさや、健康状態の悪さ、不十分な教育、交通インフラの欠如などは、もちろん貧困の大きな原因となる。だが、貧困から抜け出すには、貧しい人たちが収入を増やす方法を見つけることが最も直接的でコスト効率の良い方法となる。そうすることで彼らは、貧困の原因のうちのどれを解決するか、自分で選ぶことができる。(p.104)

→ほんと、これに尽きる。
80年代には、貧困は多面的だからその原因すべてを同時に解決しなければ効果がないと言われたそうだけど、そもそも、健康、教育、交通、水、住宅、農業などのすべての問題を同時に解決するのは不可能だと筆者は言ってる。全部解決しようとするよりも、彼らに稼がせることに集中すれば、そのお金で彼らが最も課題とすることから自力で解決していくだろう、と。

 

本を読んでて、今後の開発プロジェクトを進める上で、「誰を対象(顧客)とするのか」「その費用対効果はどれほどなのか」設定するだけでも大きく変わりそう、と思った。ていうか、これ民間企業だと当然なんだけど、話が大きくなりすぎちゃうと見えなくなるものなのか?当たり前のことを当たり前にやることが本当に大事で、それをできる人って、実は少ないのねと改めて感じる。

 


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