なぜバングラデシュにあるNGOのお店のフェアトレード商品はかわいくないのか
2014/12/26
ピープル・ツリー代表のサフィア・ミニーの著書『おしゃれなエコが世界を救う』を読んだ。
ピープル・ツリーといえば、おそらく日本でもっとも有名なフェアトレードの会社。日本でフェアトレードという言葉を定着させた会社でもある。
この本を読むまで全然この会社のこと知らなくて、てっきりイギリス発の会社だと思ってたが、ピープル・ツリーは日本発の会社らしい。代表のサフィアさんはインド系モーリシャス人の父とスイス人の母の間に生まれたイギリス人。20代に日本を訪れてフェアトレードの活動を始め、1995年に東京でピープル・ツリーをスタート。2001年にフェアトレード先進国のイギリスに逆輸入をしてロンドンにもピープル・ツリーを設立し、今に至る。
本を読んでて、著者に共感することが多々あった。古着好きなところとか、無駄を嫌うところとか。
サフィアさんは18歳のときにフェアトレードと出会っている。ロンドンにあったオックスファム(国際NGO)のチャリティーショップでフェアトレード商品と出会い、その商品を扱う団体からカタログを取り寄せてみたが、衣料品やアクセサリーがおしゃれではないということを強く感じたそう。ならば自分で作ろうと思い、それが今のピープル・ツリーにつながっている。製品の製作段階では、日本人の要求レベルを満たすクオリティまで商品レベルを上げるのに、現地の生産者とともにかなり苦労してきたらしい。
私がバングラデシュにいたとき、NGOが運営するいくつかのショップを訪れたけど、そこで売られている商品を見たときは結構ショックだった。商品のレベルがお世辞にも買いたいと思えるものではなかったから。だから、サフィアさんの気持ちはすごくよく理解できた。アーロン(世界最大のNGO・BRACが運営するショップ)はまだましだったけど。結局、気に入ったものがひとつもなかったので、私はおみやげに何も買うことができずに帰国した。
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私のフェアトレード商品との出会いは、私が大学卒業間近にペルーを訪れたとき。
↑ペルーのとある町のお店で売ってたポーチ。フェアトレード商品のため、その辺のおみやげもの屋さんの価格の5倍くらいする値段だったが、それでも買える値段だったし、デザインが気に入ったので買うことにした。気に入っているし壊れないので、今でも使っている。
これを購入したときは1ヶ月間のバックパック旅行中だったので無駄使いは控えていたけど、買うのには悪い気はしなかった。これを買うことで誰かの労働賃金が正当に支払われてるなら、社会的に意義があるような気がした。
こうして、私の頭の中では「フェアトレード=対等で公正な貿易のシステムを支持する仕組みであり、かつ、かわいくて高品質」という図式が出来上がっていた。だが、バングラデシュでそれは崩れた。バングラデシュにはもっと頑張ってもらいたかった。
実際、この二国間にそこまで大きな違いがあるんだろうか。2013年のGDPではペルー52位2024億ドル、バングラデシュ59位1617億ドルで、そこまで差がない。ペルーに出来るんだからバングラデシュでもきっとできるのでは…。とこのときは思ったけど、よくよく考えたらペルーとバングラデシュには決定的な違いがあった。
観光資源だ。
ペルーには天下のマチュピチュがある。ほかにも、ナスカの地上絵やチチカカ湖もあるし、お隣のボリビアはウユニ塩湖で有名だしね。だからお金のある外国人向けに、いろんなおみやげの商品開発がされるだろう。かたや、バングラデシュは本当に外国人が珍しくて、記念撮影を頼まれてしまうぐらいだ。
2013年の観光客数を調べてみたら、ペルーは約300万人、バングラデシュは2013年のデータがなく2010年は約30万人だった(UNWTO調べ)。
バングラデシュ国内にあるお店でイケてる商品が充実するには、ニーズがないといけない。国民が高品質の物を求めるようになるか、高品質のものを求める外国人が大勢やってくるかしかない。
うーん、まだまだ二国間の差は大きそう…。バングラデシュ、頑張って!