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選挙権のあるすべての方へオススメする本『日本の論点2015-16』

      2015/01/08

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大前研一『日本の論点2015-16』を読んだ。

大前さんといえば、日本、いや、アジアを代表するコンサルタント。70歳を超えてもなおこんな文章を書けるなんて、いろんな意味ですごすぎ。

だいぶ前に、大前さんの本でおそらく最も有名な『企業参謀』を読もうとしてかなり最初のほうで挫折した記憶があって、この本も読めるか不安だったけど、普通の人にもわかりやすく書いてあってスラスラ読めました。

選挙前だし、選挙権のあるすべての人に読んで考えてもらいたい本。これ読むと、ある程度の考えるベースができるから、選挙で投票者を選ぶのに少しは役立つと思います。

25あるトピックの中でももっとも興味深かったのが、16-18章のドイツの部分。
16:世界から尊敬されるドイツ、警戒される日本
17:お金をムダにしない「ドイツ連邦制」の仕組み
18:就職に困らないドイツの「10歳のハローワーク」
ドイツといえば、来年度の予算が46年ぶりに無借金になるというニュースが出てた。対して日本は1,000兆円の借金があり、たぶん来年度の予算も収入の倍以上の支出を組むんだろう。普通の感覚で考えたら正気の沙汰じゃない。ほんとやばいのに、この危機感がなかなか伝わらない。
で、なぜドイツはこんな健全な国の運営ができるのかという疑問は、この章を読んでかなり納得した。ドイツの統治機構はアメリカと同じ連邦制で、各州がその州に関わる基本的な権限を持つ地方政府を持ち、日本のような中央集権体制とはまったく違うということ。ドイツの力強さの源のひとつが、この統治機構なんだというのを理解した。

これ読んだら、日本も一刻も早く道州制に移行したほうがいいって思う人はたくさんいそう。

あと、18章のドイツの職業教育の部分もかなり面白かった。ドイツでは基礎教育が終わる10歳で「人生最初のキャリア選択」を迫られ、大学などのアカデミックな方面に進学する人は全体の30%ほどで、残りは手に職をつけるために職業教育課程に進むらしい。15歳からはデュアルシステムという理論と実践のセット教育が実施され、実地訓練として週の半分は訓練生として企業で働くことになる。これってインターンそのものだよね。デュアルシステムの職種は348種あり、それぞれにグレードが設定されており、各人のレベルをすぐにはかれるようになってる。
対して日本の教育は、戦前に大学が戦争研究に駆り出されたことから、過度にアカデミックに寄りすぎてる。ほんと、微分積分が普通に暮らすのに役立ったためしが一度もないんですけど。ですけど!

あと、22章「自民党の属人的、密約ベース外交のツケ」を読むと、2年前の民主党政権がなぜあれほどまでに機能しなかったのか、その理由の一部がわかります。そのほかの章も、移民、エネルギー政策、集団的自衛権などについて、大前さんなりの解釈と提案があります。

 

明日の選挙が終わっても、今後日本に住み日本の選挙権を持つ方には、ぜひ一読をオススメします。

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