日本の神話『古事記』の現代語版が面白すぎたので、まとめた(上巻)
2016/12/04
↑高千穂峡の真名井の滝
先日、旅行で宮崎に行ったときに会った人に
「高千穂に行ったのに、『古事記』読んでないのーー??!!もったいない!!」
と、かなりマジな顔で言われたので、帰ってきてから早速読んでいます。もちろん現代語版ですけど。
いろんな人が現代語版を出しているんだけど、私は竹田恒泰さんの本にした。
古事記って、現代語版で読んでもまぁー難しい。なんせ、神様が数え切れないくらいたくさん登場するし、みんな名前が長いから覚えられない。場所もあっち行ったりこっち行ったりで、把握しきれない。
でも慣れてくると、聖書と同じくらい古事記はつっこみどころが満載でとても面白いということに気づきます。
古事記のおおまかな説明
古事記①古事記は上、中、下巻の三巻構成で、上巻が神の代の物語、中巻が神と天皇の物語、下巻が天皇の代の物語。本の目的は天皇の根拠を示すことで、日本最古の歴史書でもある。天皇の命で編纂にあたった公的な歴史書であり、決して個人が趣味で書いた歴史小説ではない。
— Eri Ishida (@eric_0426) November 21, 2016
以下、上巻の内容かいつまんでお届け。
古事記②神々が続々と誕生する中で、最後にイザナキとイザナミも誕生。この2神が日本列島を生む(国生み)。2神はさらに多くの神を生み、その最中にイザナミ負傷、死んで黄泉国へ。イザナキはイザナミを黄泉国から連れ戻そうとするが失敗。黄泉国から戻ったイザナキはケガレをとるため禊をする。
— Eri Ishida (@eric_0426) November 21, 2016
話が始まって早々に、イザナキとイザナミが国生みのためにセックスします。国ができないとその後の話も進まないわけですが、この後もいろんな神がセックスしまくって神が生まれます。風紀乱れまくってます。
黄泉国はイザナキが往来していることでわかるように、行ったり来たりできるというとても不思議なつくりをしています。神様も死ぬんですね。
古事記③イザナキの禊の最中に生まれたのが天照大御神と須佐之男命。天照大御神は高天原を、須佐之男命は海を治めるよう命令されるが、須佐之男命が暴走。天照大御神は天の石屋戸に引きこもる。暗闇の世界に困った神々は祭りを催し、天照大御神を石屋戸から引っ張り出すことに成功。
— Eri Ishida (@eric_0426) November 21, 2016
誓約(うけい/占いの一種)のときに、天照大御神が剣を天之真名井の水ですすぐシーンがあるんだけど、この真名井とは高天原の神聖な水をくむ井戸のことらしい。高千穂の真名井の滝って、見てくれがすでに神聖な様相を呈してるからそういう名前になったのかな。
古事記④須佐之男命は高天原から追放され、葦原中国へ。蛇退治をし、櫛名田比売と結ばれ、神を生む。須佐之男命の六世孫が大国主神。ある日、大国主神と兄弟たちは稲羽の八上比売に求婚しに行く。途中、大国主神は荒れた皮膚の兎(稲羽の素兎)を助けると、兎が大国主神と八上比売の結婚を予言。
— Eri Ishida (@eric_0426) November 21, 2016
稲羽の素兎が登場。最初のシーンで、兎は毛をむしられて哀れな状況なんだけど、これは立派な動物虐待です。なかなか残虐。しかもその兎に海水を浴びるように助言する兄弟(八十神)もヒドい。余計に皮膚が荒れてしまった兎に、淡水で洗うよう助言するのが大国主神(オオクニヌシノカミ)。結果、兎の肌は治り、正しい行為をした大国主神が姫と結婚できるという王道のストーリーです。
古事記⑤兎の予言が的中し、大国主神の兄弟たちが激怒。大国主神は二度殺されてしまうが、何とか生き返る。追われた大国主神は須佐之男命の元へ。そこで娘のスセリビメと恋におち、父の須佐之男命から嫌がらせを受ける。大国主神は父が寝ている間に髪を柱に結び付け、娘と逃走し結婚が認められる。
— Eri Ishida (@eric_0426) November 21, 2016
大国主神は兄弟(八十神)たちが結婚したがっていたアイドル・八上比売と結婚することになり、兄弟の怒りを買うことに。それで二回も殺されるんだけど、そのたびに母神によって蘇らせられてどんだけ不死身なのかっていうツッコミ待ちパート。
結婚相手の父親の髪を柱に結びつけて逃走するとか、なかなか鬼畜で笑える。
古事記⑥大国主神は兄弟たちを殺し、国作りを再開。各地の権力者の娘を娶り子孫繁栄させ、葦原中国が完成。天照大御神は葦原中国を自分の子に治めさせることにしたが、葦原中国で荒ぶる神を説得させるのに苦戦。天照大御神から派遣された建御雷神は、大国主神とその子2神に天の子に従うことを確認。
— Eri Ishida (@eric_0426) November 23, 2016
大国主神は自分を殺した兄弟を逆に殺しかえすっていう、もうめちゃくちゃな展開です。神様なのに容赦ないです。平和、どこいった。
古事記⑦大国主神は天の子に従うかわりに、自分が立派な宮殿(出雲大社)に住み祭られることを許してもらう。建御雷神は高天原に帰り、葦原中国を説得して平定したことを報告。これが出雲の国譲り。
— Eri Ishida (@eric_0426) November 23, 2016
古事記⑧天照大御神が平定された葦原中国に子を送ろうとすると、その子に子(邇邇芸命)が産まれたので、天照大御神の孫にあたる邇邇芸命が地上へ天降ることに(天孫降臨)。降り立った場所が高千穂。高千穂は天照大御神の生誕の地でもある。
— Eri Ishida (@eric_0426) November 23, 2016
古事記⑨邇邇芸命は容姿端麗な美人(妹)と出会い、姉とセットで嫁がされるが醜い姉を追い返したので、以降天皇には寿命ができる。邇邇芸命からは兄の火照命と弟の火遠理命が産まれ、兄弟は喧嘩するが弟が勝つ。火遠理命の子孫が後の神武天皇となる神倭伊波礼毘古命。これで古事記上巻は終わり。
— Eri Ishida (@eric_0426) November 23, 2016
邇邇芸命(ニニギノミコト)は容姿端麗なほうだけ選んで醜いほうを追い返したっていうのが、とても人間ぽくて好きです。神様は誰に対しても平等なわけではありません。この事件により寿命ができてしまった邇邇芸命のお墓は鹿児島県にあり、宮内庁が管理しているらしいです。神話がいきなり現代につながっててビックリします。
邇邇芸命の子の火照命(ホデリノミコト)と火遠理命(ホオリノミコト)は道具を交換し、弟が兄に借りた釣り針を海でなくしてしまい、探しにいくのですが、海の宮殿で会った姫と結婚してそこで3年すごします。え、釣り針探しにいったんじゃなかったの???と読者の誰もがつっこみたくなるシーンです。
聖書もおよそ科学的でないことがバンバン書かれてるわけだけど、古事記も負けてない。
神様同士で殺し合いはもちろん、死んだり生き返ったりするし、常にセックスしてるし、こういうのってどの国の神話でも一緒なのをみると、人間の考えることってどこでもだいたい一緒なんだろうなぁ。
神の代の上巻はこれで終わり、中巻の神と天皇の話に続く。