肘折温泉の西本屋旅館に泊まったら、感動して泣いてしまった話
暑くなる前に会社を辞め、めでたく東京の不毛な通勤地獄から解放された私。せっかくだから、東京の暑い夏を避けるべく北上しようと思いたち、18切符で仙台と山形へ向かった。
今回の旅のルート:
1日目:東京→鉄道で仙台へ。元同僚に会う。仙台のゲストハウス泊。
2日目:仙台→バスを乗り継ぎ、銀山温泉→村山の徳内まつりを鑑賞しつつ、米農家に泊まる。
3日目:村山→新庄で新庄まつりをチラ見→タクシーで肘折温泉へ、西本屋旅館に泊まる。
4日目:バスと鉄道を乗り継いで東京へ。
仙台には旅行会社時代の同僚がいて、借りっぱなしだった本を返しにいった。その時、山形で訪問すべき温泉地を相談したところ、「肘折温泉に行け」とのことで、その場で宿の予約をする。
山形のスペシャリストである同僚のお墨付きなら間違いないだろう、肘折温泉の訪問が楽しみになった。
今回泊まることにしたのは、肘折温泉の中でも金魚推ししている西本屋旅館。
この旅館、長期滞在の湯治客へのせめてものエンターテイメントとして、「金魚湯」という風呂から金魚が鑑賞できる浴槽をもうけております。
金魚の水槽に寄ると…
↑このアングルがまさに浴槽につかったときに見えるアングルなんだけど、確かにこれは金魚鑑賞以外の何物でもない。水槽の中にはさりげなく考える人…
私、わりと日本各地の温泉入ってきたけど、入浴しながら金魚鑑賞できる温泉は初めてだ…
金魚を見かけることも最近は少なくなったので、しばらくじーっと眺めた。
この旅館、金魚湯以外でも至るところで金魚推しをしております。
↑旅館の軒先にも。
↑タオルにも。
↑照明にも。
↑夏の間、肘折温泉全体で「ひじおりの灯」という、お店や旅館の軒先に灯篭を飾るという催しをしてて、西本屋旅館の灯篭はもちろん金魚柄。
この「ひじおりの灯」、めちゃ良いイベントだなと思った。夜にしか見られないものがあると、宿泊の動機になる。白川郷の夜景もそうだし、銀山温泉の夜景もそう。夜中の景色って、宿泊した人にしか見られないんだよね。
グッズも、来年はマスキングテープを作ったらめちゃくちゃ売れると思います。
↑領収書のスタンプまで金魚柄だったのには、ちょっと笑った。やっぱり、とことんやりきることが重要。
金魚以外に注目すべきは、旅館に置いてある本のチョイス。ここの若旦那のセンスで「アラサーちゃん」や「地獄のミサワシリーズ」が置いてあり、ポイント高い。たぶん私と同年代なんだろうなぁ。
たまたま本の入れ替えをしていた若旦那と廊下で遭遇し、この地域の歴史やこの旅館の成り立ちとか、大変興味深いお話が聞けた。もともと豆腐屋さんだったとか、その昔、月山は伊勢神宮と双璧をなす観光地だったとか、聞いてビックリ。今度、登ってみたいな。
こちらの宿、ほぼ家族経営なんだけど、朝の忙しい時間にもかかわらず、宿のご夫婦がチェックアウトの際に深々とおじぎをしてくれた。こっちが申し訳なくなるぐらいに。
8:35発のバスに乗るのに、8:30に宿をあとにした私。宿から1分もかからない所にあるバス停に到着し、バスの中で出発を待つ。数分後、バスが発車し、旅館が立ち並ぶ細い通りを進んでいくと、旅館の軒先でご夫婦が待っていて、こちらに手を振ってくれた。
お二人とも、心からの笑顔だった。
こんなに温かいお見送り、私は初めてされたよ。
バスの発車まで軒先で待ってくれていたことにも感動し、思わずバスの中で泣いてしまった。
同僚がなんで肘折温泉に行けって言ってたのか、わかった気がする。ほんとにお世話になりました、今度は雪深いときにのんびり来たいなぁ。
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